2016年05月15日

ひがしのひとしさんの遺作 茫洋

 2014年5月14日に亡くなったフォークシンガーひがしのひとしさんの遺作を収めたCDが奥様より送られてきました。手作りのCDで5曲が収められています。その中に拙作「茫洋」も入っていてびっくり。
 もう10数年前、ひがしのさんから僕の詩に曲を付けたいという申し出があり、お会いしました。痩せた、木訥な感じの方で、よろこんで附曲を了解しました。そのときに付けられた曲は「ぷかぷか」と「親指のとなり」(いずれも『キリンの洗濯』収録)で、ライブなどで歌われていました。しかし、「茫洋」に曲を付けられていたということは今回初めて知りました。きちんとした演奏なので、いずれCDにされるつもりであったのかもしれません。
 「茫洋」は詩集『夜にいっぱいやってくる』(思潮社)の最後に収めた詩で、かなり変な詩です。これに曲が付くとは驚きですが、ひがしのさんは切々とした愛の歌に仕上げています。お聴きいただければ幸いです。
 原詩は次の通りです。

   茫洋

ハサミで夜を切っていく
菱形、三角、ギザギザ、むちゃくちゃ
そんなふうに
ぼくらも終わった
君の激しい罵りも
今は遠い記憶となった
青空が間抜けのように広がっている
見上げると
関節がぼきぼき鳴るよ
何だか遠いところでぼきぼき鳴るよ


(コントローラーの右側の▷マークを押すと演奏が始まります)

 今回送られてきた奥様からの送り状には、「愛用していたノートの最後のページの言葉です」として、次のように記されていました。

 唄が風に消えてゆく日
 ぼくはこの世を去るだろう
 唄と一緒にふきとばされて

 まさに唄と一緒に去って行かれたのでした。

 ひがしのひとし
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B2%E3%81%8C%E3%81%97%E3%81%AE%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%81%97

posted by 高階杞一 at 13:14| Comment(0) |
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