2018年08月06日

同人の2冊の詩集

 ガーネット同人の詩集が相次いで2冊出ました。1冊は大橋政人の『朝の言葉』(思潮社)。2年前に出た『まどさんへの質問』に続く新詩集。3章に分かれていて、メインとなっているのが1章の詩篇。10数年前に群馬県の上毛新聞に連載した40篇ほどの中から16篇が選ばれている。紙面の制約からどの詩も20字20行以内に収められ、かつ一般読者が読み手ということを念頭に置き書かれたものという。2章はやはり10年ほど前に書かれた詩篇から日常を題材にしたものを選び、3章は20年ほど前の作品から幼少年期に材を得た詩篇を選び収録したという。以上のことから、新詩集とは言っても、内容的には旧作の選詩集だと言える。旧作ではあるけれど、大橋政人独特の「日常の小さな発見」に満ちていて、魅力ある1冊となっている。

 ざら紙の「夏休みの友」
 その表紙に描かれた
 入道雲と麦藁帽子と立葵の花

 夏・懐かしきもの
 お昼のラジオ「昼のいこい」
 あの、ゆったりとしたテーマ曲を聴きながら
 家族みんなで昼寝をした
 目がさめたら家中だれもいなかったときの
 一瞬の恐怖と昼下がりの気だるさ
   (1章「夏・懐かしきもの」より)

 もう1冊は廿楽順治の「うだがわ草子」。こちらはパソコンで作成し、プリントアウトしてホッチキスで留めただけの手作りの冊子。先日空とぶキリン社から出した長嶋南子詩集『家があった』の表紙絵と同じ宇田川新聞さんの版画とセットになっている。たぶん宇田川さんの版画が先にあって、それに詩が付けられたものだと思われる。見開き2ページで1篇の世界。絵と詩が巧みに絡み合っていて、楽しい。
 全10篇の中から1篇紹介します。

 のの字
 のの字で
 かぼそく暮らしてきた
 殿にはせめて
 巻かれてきた者の死にざまを見せつけてやろう
 でも、そういう言い方は正確じゃないな
 修学旅行の夜のように
 肉ぶとんに巻かれて
 ほんとうはたのしんできた
 (おれはこれでよかったのかと)
 のの字
 のの字の
 暮らしはくやしくて
 そのくせいのちがけで芯が甘いんだ
   (「ロール」全)

大橋政人詩集『朝の言葉』.jpg

廿楽順治『宇田川草子』.jpg

廿楽順治『宇田川草子』「のの字」.jpg

posted by 高階杞一 at 13:50| Comment(0) |
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